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日本神話 古事記 大国主命にまつわる話

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大国主命(おおくにぬしのみこと)とは

大国主命(オオクニヌシノミコト)

大国主の名前は、もともと大穴牟遅神(オオアナムヂ)という名前でした。彼は須佐之男命(スサノオノミコト)と櫛名田比売(くしなだひめ)の子孫にあたる出雲に属する国津神です。彼には八十神(ヤソガミ)と呼ばれる、多くの兄がおり、兄弟の中では末っ子にあたります。末っ子の彼は、兄弟の中で、いじられキャラ的存在でしたが、そんな彼が、後にスサノオの娘と結婚し、後に出雲を治めることになります。今回はそんな大国主にまつわる神話を紹介していきます。

エリッサ
大国主命の話につながる話についてはYouTubeで動画を作成しているので、興味のある方は是非見てみてください

目次

因幡の白兎編

因幡の白兎

ある日、オオアナムヂ(後の大国主)の兄たちが、因幡(いなば)の国にいる絶世の美女 八上比売(ヤガミヒメ)に求婚しに行こうと話していました。オオアナムヂも立候補します。とうぜん兄貴勢はオオアナムヂをバカにしましたが、荷物持ちとして、付いていくことになりました。

因幡の国は現在の鳥取県 東半部にあった国

オオアナムヂが因幡の海岸沿いに到着したとき、ケガをして苦しんでいる白うさぎに出会いました。白兎のケガの経緯はこうでした。隠岐の島から、海を越えて本州に渡ろうとしたが、足場がなかったので、サメを利用しようと考え、サメに「私とあなたたち一族とを比べて、どちらが同族が多いか数えよう。できるだけ同族を集めてきて、この島から向こうの岸の前まで並んでくれ。私がその上を踏んで走りながら数えるから」と持ち掛けました。承諾したサメの上をピョンピョンこえて、行きましたが、本州に到達する寸前に、サメに騙していたことを口走った結果、おもっくそボコられて、ケガをしました。

するとそこに八十神がやってきて、治療方法を教えてくれたのですが、それが「海水で洗い、風に当たる」という、むしろケガを悪化させる方法でした。それを聞いたオオアナムヂは白兎に「真水でケガを洗い、そこに穂の花粉をまぶすように」と伝えます。すると、たちまちケガが治りました。

その後、オオアナムヂが白兎に、兄貴勢と共に、ヤガミヒメに求婚に行くことを伝えると、白うさぎは「絶対あなが選ばれる」とオオアナムヂに伝えました。オオアナムヂは「パシリの私には望み薄だよ」と伝えて去りましたが、その後オオアナムヂがヤガミヒメに求婚すると、白兎の予想通り、ヤガミヒメはオオアナムヂを選びました。

八上比売(ヤガミヒメ

舞台になった海岸沿いは現在の鳥取県 白兎海岸

兄貴勢 八十神の逆襲編

八十神(ヤソガミ)

ヤガミヒメをオオアナムヂに奪われた、兄貴勢は嫉妬から、オオアナムヂを星にすることに決めました。彼らは先ず、「赤い猪がこの山にいる。我々が一斉に追い下ろすから、お前は待ち受けてそれを捕えよ」とオオアナムヂを呼び出しました。オオアナムヂが赤い猪を待ち構えていると、兄貴勢はガンガンに熱した大岩を転がし、オオアナムヂにぶつけて星にしました。

それを知ったオオアナムヂの母親は天津神にこれを報告。同情した天津神はオオアナムヂを蘇らせました。しかしそれを知った兄貴勢は再びオオアナムヂを星にすることにします。彼らは先ず、大木を切り倒し、それを楔で割れ目を作りました。その後、その大木の割れ目の間にオオナムヂを入らせ、楔を引き抜いて挟んで、オオアナムヂを星にしました。

オオアナムヂの母親がそれを天津神に報告すると、同情した天津神はオオアナムヂをもう一度蘇らせます。しかしこのままでは、オオアナムヂは兄貴勢にまた星にされてしまうのは明白だったので、オオアナムヂの母親は、オオアナムヂに、紀伊(きい)の国に住む、木の神、大屋毘古神(オオヤビコ)のところへ逃げるよう言いました。

オオアナムヂは言われた通り逃げましたが、兄貴勢がおってきて、オオヤビコに、オオアナムヂを引き渡すよう迫ります。そこでオオヤマビコは、オオアナムヂを木の股を潜り抜けさせて、スサノオのいる根の堅州国(ねのかたすくに)に逃がしました。

紀伊の国 現在の和歌山県

根の堅州国編 迫りくる須佐之男の試練 大国主命誕生

須佐之男命(スサノオノミコト)

オオアナムヂが根の堅州国に行くと、めちゃくちゃ美人な女神に出会いました。それが須勢理毘売命(スセリビメ)です。オオアナムヂとスセリビメの二柱は、お互いに一目ぼれし、スセリビメは、オオアナムヂを父親に紹介しました。その父親こそが、まさかの荒神 スサノオでした。スサノオはオオアナムヂの先祖にあたる人ですが、彼は神なのでまだ生きているのです。

須勢理毘売命(スセリビメ)

黄泉の国にいる母、イザナミに会いたいと言っていたスサノオがなぜ根の堅州国にいるのか?実はこの問いには複数の説があり、明確には分かっていませんので、調べてみた限りのざっくりとした説を紹介します。

説1)黄泉の国と根の堅州国は同じ世界だが、各地に点在していた複数の伝承を古事記としてまとめた結果、名称が分かれた。この場合、スサノオはイザナミと同じ世界にいる。
説2)二つの世界は別の世界。黄泉の国は死者の腐敗や穢れの象徴的な世界で死者限定。一方で根の堅州国は死者の魂や霊がいる、国津神たちにとっては先祖とつながれる世界であり、根の堅州国は生者もいける。この場合、スサノオはイザナミと同じ世界にいない。スサノオは生者なのでイザナミのいる黄泉の世界には行けず、根の堅州国に住むことにした。

スサノオはオオアナムヂを蛇の間という部屋で寝るよう言いました。しかし、自分の父親のヤバさを知っているスセリビメは、比礼 (ひれ)、現代でいうスカーフ的なやつを、オオアナムヂに渡しました。オオアナムヂが蛇の間にいると、蛇が出てきて、オオアナムヂを咬もうとしましたが、言われた通りに比礼を振ると、蛇は静まりました。

翌朝、普通に起きてきたオオアナムヂを見たスサノオは、今度は彼を野原に連れ出し、放った矢を拾ってきてくれと言いました。オオアナムヂが放たれた矢を探していると、スサノオは野原に火を放ちます。火に囲まれて焦りまくっていたオオアナムヂのところに、ネズミがやってきて、オオアナムヂを「中は広いが入り口は狭い穴」に連れていき、しかも放たれた矢も持ってきてくれました。これによりオオアナムヂは、火を逃れ、しかも言われた通り、放たれた矢を持って帰れたのです。

助けてくれたネズミ

帰ってきたオオアナムヂに、スサノオは頭のシラミを取ってくれと頼みました。オオアナムヂが頭をのぞくと、そこにいたのはシラミではなく、ムカデでした。スセリビメはオオアナムヂに、椋の木の皮をかじって、赤土一緒に吐き出すことで、ムカデを嚙み潰しているフリをさせました。するとスサノオは感心した後に、眠ってしまいました。

この隙に、オオアナムヂとスセリビメは、根の堅州国から逃げることにします。オオアナムヂとスセリビメはまず、スサノオの髪を柱に結び付け、生大刀(いくたち)、生弓矢(いくゆみ)そして天詔琴(あまのぬごと)を持ち出しました。しかし逃げている最中に、天詔琴が木にぶつかり、爆音が響き渡ります。目覚めたスサノオは髪をほどき、オオアナムヂとスセリビメを追いかけます。ゴッドチェイス シーズン2です。

しかし、既に黄泉比良坂(よもつひらさか)という、葦原中国(あしはらのなかつくに)につながる道に差し掛かっていたオオアナムヂとスセリビメは走り抜けます。その際にスサノオはオオアナムヂにむかって「生大刀と生弓矢で八十神を追い払って大国主命と名乗れ!スセリビメを妻にしろ!あと、千木が空高く届くほどの宮殿を建てろ!」と叫びました。

出雲に戻っ大国主は、生大刀と生弓矢で八十神を追い払ったのちに国づくりを始めました。ちなみに大国主はスセリビメを本妻とし、ヤガミヒメはスセリビメの嫉妬を恐れ、因幡の国へ帰っていきました。

黄泉比良坂は現在の島根県松江市東出雲町の国道9号線から南方に約300mにある

国譲り編 アマテラスからの刺客

天照大御神(アマテラスオオミカミ)

大国主とその息子たちが葦原中国を順調に治めていましたが、そこに待ったをかけた神がいました。天照大御神(アマテラスオオミカミ)です。彼女は自分の長男である天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)こそが葦原中国を治めるべきだと主張しました。しかし彼は天の浮橋(あまのうきばし)から下界を覗いた結果「葦原中国は大変騒がしく、手に負えない」と思い、それをアマテラスに伝えました。

天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)

天忍穂耳命はアマテラスとスサノオが誓約(うけい)をした際に生まれた神の一柱です

そこでアマテラスと造化三神(ぞうかさんしん)のうちの一柱である高御産巣日神(タカミムスヒ)は、天安河原(あまのやすかわら)に八百万の神々を集め、どの神を葦原中国に派遣すべきかと問いました。思金神(オモイカネ)とその他の神々が相談した結果、天菩比命(アメノホヒノミコト)を派遣するのが良い」という結論になりました。

天菩比命(アメノホヒノミコト)

アメノホヒは葦原中国に到着すると、さっそく大国主に国を譲るよう伝えました。しかし大国主はとりあえず国を案内し、アメノホヒをもてなしました。それから3年、アメノホヒから高天原への連絡がないので、確認してみると、アメノホヒは大国主に寝返っていました。

オモイカネとその他の神々が相談した結果、次に派遣されたのが、天若日子(アメノワカヒコ)です。それから8年、アメノワカヒコから高天原への連絡がないので、確認してみると、アメノワカヒコは大国主神の娘の下照比売(シタテルヒメ)と結婚し、しかも自分が葦原中国の王になろうと企んでいました。

天稚彦(アメノワカヒコ)

天照大御神はオモイカネはの勧めで鳴女(ナキメ)という雉を送り、アメノワカヒコに真意を問うことにします。ナキメがアメノワカヒコの家の前で、鳴いていると、天佐具売(アメノサグメ)という女神が、アメノワカヒコに「この鳴き声は不吉だから矢で射るべきだ」とそそなかし、アメノワカヒコはナキメを射ってしまいました。血の付いた矢は高天原まで届くことになります。血の付いた矢を見つけたアマテラスたちは「アメノワカヒコに邪心があるなら、アメノワカヒコに当たるように」と言い、投げ返しました。結果、矢はアメノワカヒコの胸を貫きます。はいダウト!です。

天佐具売(アメノサグメ)

天佐具売(アメノサグメ)は天邪鬼の原型とされています。

次こそはということで、雷神にして、剣の神である建御雷之男神(タケミカヅチノオ)を派遣することにしました。葦原中国に舞い降りたタケミカヅチノオは、剣の先端にあぐらをかきながら、大国主に問いました「葦原中国は天津神が治めるべきと思おうが、いかに」。すると大国主は彼の息子たちに尋ねるようにと答えました。大国主の息子の一人、八重事代主神(ヤエコトシロヌシ)は承知しましたが、別の息子建御名方神(タケミナカタ)は、千引石(ちびきのいわ)を片手に乗せながら、タケミカヅチノオの腕を掴みながら、力で決めようと持ち掛けた。するとタケミカヅチノオは掴まれた腕を氷柱に変形、続いて剣に変形させると、逆にタケミナカタの腕を握りつぶし放り投げました。こいつはヤベェと逃げだしたタケミナカタでしたが、科野国(しなののくに)の州羽(すわ)の海に追い詰められ、そこで降伏。国譲りを受けいれました。しかし大国主は国譲りの条件として「千木が空高く届くほどの宮殿を建てること」を提示しました。これが現在の出雲大社です。

建御雷之男神(タケミカヅチノオ)

科野国の州羽の海は現在の長野県諏訪湖だとされています。
タケミカヅチノオは、イザナミの死因となった火の神をイザナギが切り殺した際に、岩に飛び散った血から生まれた三神の一柱。また彼は相撲の元祖と言われている。

YouTubeアカウント
https://www.youtube.com/@minamoto-ancient

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